平成17年8月17日

 

エイズ治療・研究開発センター 運営協議会 議案

 

東京HIV訴訟原告団

 

大阪HIV訴訟原告団



 エイズ治療・研究開発センター(以下、ACCという)は、輸入血液製剤に起因するHIV感染被害の救済とHIV感染症の治療・研究開発を目的として、和解確認書及び議事確認書に則り、「国の責任」で設置された。わが国のHIV感染症の最新・最高度の治療と研究開発・情報提供・研修を実施する機関であり、HIV医療のナショナルセンターである。平成9年4月の発足以来8年間、ACC医療スタッフが日々努力と研鑚を重ねてくださっていることを評価し厚く感謝する次第である。また、ACCの重責遂行を支援する国立国際医療センタースタッフの努力にも礼を申し上げる。いうまでもなく、ACCは、HIV感染者の拠り所である。とくにHIV感染被害後20年を越える被害患者の身体的・精神的状況は厳しさを増している。HIV/HCV重複感染の重症化により、20~30代で肝硬変・肝不全で亡くなる人の増加傾向が止まらない。また、抗HIV薬長期服用による代謝異常や精神的問題を惹起する副作用は、被害者をして未だ経験の無い困苦の領域に踏み込ませている。そうした被害者にとって、ACCは、国が保障した、生きる希望をつなげる最後の命の砦である。 


 一方、ACCは被害救済機関にとどまらず、HIV医療のナショナルセンターとして全国各地のブロック拠点病院や拠点病院との連携のもと、わが国HIV医療の頂点に立つ存在である。本年エイズ予防指針見直しがあったが、患者数の急増するわが国のHIV医療再構築において、同医療体制のトップの機関としての責務を果たすことが求められている。また医療協議・中央運営協議会、更に厚生労働大臣との定期協議及びその打合せ会議において、ACCに首都圏診療支援のための新しい役割が付与された。全国のHIV感染者・患者の7割を占める首都圏について更に診療支援機能を高めるため、首都圏診療協力部(診療支援部)をACCに設置して同協力部のコーディネートのもと、首都圏拠点病院との診療連携機能を深めHIV感染者の最近の急増に対処していくことになる。治療薬や治療法の進歩に伴い、検査・抗HIV薬投与等々、綿密な治療計画の下に高度なHIV感染症治療が維持される必要がある。この高度医療を展開するには、診療連携に入る拠点病院等とACC診療協力部との間で、まさに生きた診療協力が実施されなければならない。かようにして診療経験を積み重ねる中で、患者数の増加に対する有効的適切な治療が実施できる病院を増やさなければならない。首都圏の対策がそのままわが国のHIV医療施策といえるほど逼迫した状況において、厚生労働省は財政的にも特別な手立てを組み、ACCの人的・物的強化を積極的に推進していただきたい。 


 また、昨年、ACCのある国立国際医療センター病院の建替えに関して、大臣の約束に基づき原案図面が提示され、病棟図面については専用研修・会議室を除き大筋で合意を見たところである。一方、外来や研究室・医療情報室等々においては意見の反映のないまま中断されている。ACC拡張(人的・物的)については、16年度大臣協議でも確認されたところから、長年解決されていなかった要望をも取り入れた図面を提示されたい。なお、原告団が建替え後のACCの姿に関心をもち、計画に関与するのは当然のことで、建替え後のACCのあるべき姿について、後記のとおり具体的な要求事項を再度掲げた。

 ACCが被害者救済と我が国のHIV医療の頂点という、後退することが許されない国策に基づき設置・運営されているものである以上、国はACCを、国立国際医療センターのシステムに組み込むのではなく、別異のシステムとして特別な位置づけの施設であることを念頭に計画され、併せて国立国際医療センターに過度の負担を生じさせないよう、特例を設け、あるいは便宜をはかり財政的支援を行われたい。なお、国立国際医療センターと利害が生じるような件については、厚生労働省が調整に当たられることを要請するとともに、医療センター病院に対しても、ACCが他科とは異なり、上述のとおり国の医療政策として特別に設置された存在であることをご理解願う次第である。 
 なお、『厚生省は、ACCについて、「今後患者数の変化等により診療などに支障があると認められる場合は、両原告団との協議の上で、充実を図っていくものとする」(平成11年3月8日付 大臣議事確認書)』との確約をなしている。後記のとおり、ACCでは現在、急増しつづける患者(しかも初診で重症化した患者が多い)に対し、7年も先の建替えを待っていては、対処しきれない緊急事態が生じている。これらの問題については、厚生労働省は、直ちに解決されたい。さらに、この数年解決・改善されていない諸問題についても引き続き要求事項として掲げておく。 

 

1)説明事項等

  1. 厚生労働省審議官、国立国際医療センター病院院長、エイズ治療・研究開発センター長  から、平成17年度の抱負をお聞かせ願いたい。

  2. 平成16年度の現状・取り組み・実績・研究成果について、報告をお願いする。

 

2)重点要求事項(項目のみ)


 

  1. 緊急課題 

    • 診療報酬に係わる外来・入院 1:1.5 の枠を撤廃する(ACCの患者は、この枠に組み込まない)

    • 患者増に対応し、建替えまでの外来・相談室拡張(現外来スペースに余裕がなければ同棟2階真上に増設。今準備しないと外来機能と診療の質はパンク)

    • 国内支援態勢 
      首都圏支部事務室をACC首都圏医療連携支援室とし、首都圏拠点病院等との連携充実のため早急にACC首都圏医療協力部(仮称)の設置し、支援体制を整える。 そのための情報室及び診療支援の人材確保(専任医師、CN、診療支援事務官)

    • HIV認定看護師(CN)の認定研修における実務研修をACCで行う

     

  2. 国立国際医療センター立て替えに伴うACC施設の構想と原案図面に対して
     

    • 図面段階で協議の上着手すること

    • ACC専用研究室の独立・拡充及び検体保存冷凍室

    • ACCにおける救済医療実現に向け、患者家族および遺族の医療相談対応における人的 確保
       

  3. 国立国際医療センター幹部職員等を対象として、ACC設置とその特殊性、またHIV医療のナショナルセンターとしての特別な位置づけについて、運営も含め毎年1回説明する場を国の責任において設けられたい。尚、その際厚生労働省国立病院課も出席し必要事項を説明するとともに、東京・大阪原告団または推薦する団体・人による説明を行う枠組みとされたい。
     

3)個別要求事項:エイズ治療・研究開発センター(ACC)の医療体制拡充・医療支援機能強化の要求


(1)ACC首都圏医療協力部(仮称)新設 

 全国のHIV感染者・患者の7割が集中している首都圏地域の医療体制については、首都圏支部としてACCが、各拠点病院と連携を図りつつ診療支援していくことが確認されているところである。国内外の感染者増に対する医療の展開の遅れが大きく取り上げられている中で、わが国の首都圏地域の拠点病院の中には、未だ院内でのHIV治療体制が組まれて無いところや、適切なHIV治療を実施できない病院が少なくない。患者を常時診療している拠点病院があまりに少ないことは、ACCなどの患者増を加速させる一因となっている。 
 ACCとの連携や昨年から実施されている出前研修も、現在の体制では、ACC自体診療・研究・情報提供等に忙殺され限界が出ている。まして、受診患者急増の中、診療内容の質低下が問われ始めている。関東・甲信越ブロックのACCに設置されているはずの首都圏支部(ACC首都圏診療連携事務局)を人的物的・機能的にも強化し、ACC内に新規に「首都圏医療協力部(仮称)」を早急に新設されたい。首都圏の拠点病院等と連携を行う組織として、元来、ACCには医療スタッフの派遣機能(医療支援)があり、この機能を首都圏協力部として発揮されたい。具体的には、首都圏医療協力支援室を確保し、また首都圏の患者数・規模からみて、当面首都圏医療協力部専任の医師2名、コーディネーターナース2名、協力支援室担当職員1名を増員されたい。 
 併せて、派遣について、ACC発足時より生きた実際の研修はその場で実施するという理念が未だ生かされていない。このACCから他医療施設に対する診療・診療指導派遣を可能とする制度を実現されたい。 

(2)物的整備について 

Ⅰ.国立国際医療センター病院建替えに関する件  

 

  1. 国立国際医療センター病院の建替え原案図面の提示と協議の場の設置

  2. ACCは国立国際医療センター病院内に設置されているため、病院の建替えはACC機能に直接影響する。昨年数回原案図面等を提示されたところである。病棟については前述したACCの研修室について、専用化が検討課題として残っている。外来・相談室・医療情報室・ケア支援室・研究室(検体冷凍室込み)については、これまでの大臣協議などを踏まえ患者増に対応してACCの機能を保持できるものであるかとの観点から、HIV感染症医療のナショナルセンターとしてより充実したものをつくり上げられたい。 
    なお、原告団としては、建替え後のACC関連施設として、最低限以下の設備を設置されることを要望する。 

     

    ACC専門病棟(30床+面談室2室+処置室2室+専用食堂・ラウンジ1室+カンファレンスルーム1室+研修医室1室+当直室1室)
    ACC専門外来(6診+5床処置室+吸入室+採血室)、ACC専門相談室(5室) 
    ACC医療情報室(現状の2倍)、ケア支援室、専用会議室(40~50人用) 
    ACC首都圏医療協力部(同事務室+同支援室) 
    ACC専用研修室+研修生室 ACC研究室(現状の1.5倍以上の広さ)+検体保存冷凍室ACC患者支援ルーム ACC医局
  3. 国立国際医療センター病院建替えにおける専門病棟確保の件

  4. 現在のACC専門病棟の理念を踏襲し、患者の要望を反映した専門病棟として30床の病床及び1.に示す附帯する設備を建替え後の専門病棟に確保されたい。 

  5. 国立国際医療センター病院建替えにおける専門外来確保の件

  6. 急性期から重症の患者まで、HIVの最新・最高度の医療を求めてナショナルセンターであるACCに通院を希望する者の増加はとまらない。患者の気持ちからみて、この流れは変えられない。現況累積患者数1、700人、これに対し現状の3.5診の対応では、濃密な診療の質が低下傾向に有り、また、急患で来る患者は2時間も待つこともあり、待合で苦しそうに横たわっている姿が痛々しい。建替えに際しては、6診察室と5床の処置ベッドを備えた処置室、及び発症予防治療や外来治療として必須な吸入室を完備したものとされたい(今後の患者増を考えると、6診でも万全とは言い難い)。今後抗HIV長期服用に対する個々の患者が有する素因に合ったオーダーメイド治療が展開されていくため、外来での充実した診療の余裕、相談に対応するスペースがより求められるものである。従って、専門外来に併設して、相談室も5室を確保されたい。 

  7. 国立国際医療センター病院建替えにおけるACC医療情報室・ACC首都圏医療協力部・ACC医局・ACCケア支援室・ACC専用会議室の確保及び患者のアクセスを尊重した設置について

  8. 本年2月より、医療情報室・ケア支援室・専用会議室が外来2階に移転したが、従前より面積こそ拡充されたものの、専門外来から遠く、エレベーターも近くにないなど、患者の利便性という点では、後退したといわざるをえない。これらの施設は、患者と医療者が作り上げていく我が国のHIV医療のモデルであり、患者にとっても最新・最高度の医療に接する場として重要なものである。建替え時には、患者のアクセスを尊重した設置をされたい。 
    なお、3.4.の施設整備のため最低でも460平方メートルのスペースを確保することを要求する。 

    Ⅱ.建替え前に緊急に整備されたい件 

     

  9. 上記医療センター建替えまでの専門外来及び相談室の拡充 (特に緊急)

  10. 現状でも、1日平均50人(多い日は70人)の外来通院患者があり、上記Ⅰ-3のとおり、3.5診察室では対応しきれない。また、2相談室も空きがない状況である。外来通院者の激増はこれまでも指摘してきたことでもあり、他方で病院の建替え完了は7年後であるとのことであり、それまでの間、早急に(患者の医療水準を落とすことなく、かつプライバシーの確保された)診察室及び相談室を拡充する必要がある。現外来スペースに余裕が無ければ、同棟2階真上に増設されたい。 

  11. 独立したACC研究室の確保及び治療開発機器導入に則した研究室の拡充と、検体保存冷凍室の確保

  12. ACCの重要な使命のひとつに、新たな治療法等の研究開発がある。現在のACC研究室(治療開発室)は、医療センター研究所の一部を間借りしている状態であり、新規研究機材を導入するスペースすらない状況である。このような状況は、HIV感染症治療研究のナショナルセンターとして到底ふさわしいとはいえない。したがって、より広いスペースに、独立したACC研究室を確保されたい。また、研究開発のための重要な資産である検体保存のための冷凍室設置についても、3年前より運営協議会から要請しているところであり、当時の国立病院部長、センター病院長にも現状を見ていただいたところであるが、いまだ実現していない。日本のHIV感染者の貴重な資料であり、研究に活かしACCの目的に活用するよう、早急に検体保存のための冷凍室の設置を求める。 

  13. ACC医療情報室・ACCケア支援室への患者のアクセスを改善するためのエレベーターの設置

  14. 上記Ⅰー4でも述べたとおり、移転後の医療情報室・ケア支援室・専用会議室は、患者にとってアクセスが良いとはいいがたい位置にある。この先7年間この状況を強いるのではなく少しでも改善するため、これらの施設の近辺にエレベーターを設置されたい。簡易型エレベーターでも可能なはずで、もし困難なようであれば場所を移すなり早急な改善を求める。 

  15. ACC専用研修室と研修生室の確保

  16.  ACCの重要な責務として研修機能がある。最近では、HIV医療研修を集中的・全国規模で定期的に行っているのはACCのみである。また、HIVのみならず、感染症医療の人材(感染症医療管理者も含め)育成のためにも、ACCの研修機能を更に強化する必要がある。ACC専用の研修室を早急に整備されたい。また、研修生のための待機室(個別のデスクやロッカールーム等の有る)や、全国から来る研修生のための宿泊施設を早急に整備されたい。 

  17. 首都圏診療連携事務室・支援室の確保

昨年度は、首都圏診療連携事務局の事務室を今年度以降には首都圏医療協力支援室も確 保し、早急に首都圏診療協力部を立ち上げて首都圏のHIV感染者医療を予防医療の観点 も踏まえた先駆的医療を実践できる体制を構築されたい。 

(3)人的配置・増員について 
 

 

  1. ACC専門医療スタッフ増員の件

  2. かねてから要求するところであるが、以下の専門医療スタッフの増員を要求する。特に、抗HIV副作用による精神的障害に関する専門家、重複感染した患者を診るHCV専門家、生体肝移植など肝移植、止血管理の血友病専門医が救済医療実現のため不可欠なところである。

     

    • 「HCV・血友病治療等救済医療及び支援の強化」

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    • HCV等肝炎専門医師(1名)、止血及び凝固管理・研究の血液専門医師(1名)、情報・研修担当のHIV感染症専門医師(2名)、首都圏医療協力部専任医師(※5名)、医療協力部コーディネーターナース(※4名)、医療協力支援室担当事務官(1名)、免疫・アレルギー治療研究医師(1名)、精神疾患専門医(1名)。 

      ※緊急対応としては各2名(P3)

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    • 「外来患者・入院患者増対応強化と救済医療としての患者家族・遺族の支援体制」

    • 看護師については、増加するHIV・HCV・血友病患者の包括ケア、医療の質の確保・向上、患者家族・遺族の支援体制実施のため、コーディネーターナース(CN)を中心に以下の人員を要求する。 
      患者家族・遺族の医療・健康相談支援体制充実のためのコーディネーターナース(2名)、 

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    • 「研究機能の強化」 (緊急)

    • ACC研究室(現治療開発室)に、被害患者の救済医療の充実や急増するHIV感染者に対する臨床研究の充実を図るため研究職員(3名)を正規職員として新たに採用されたい。 
      患者数も1700人になり、現在は既定の命題をこなすことで手一杯であり、新たな研究課題が出ても対応できない状況である。しかも、医療職か行政職の人材しか正規職員として配置されず、ACCの目指す最新・最高度の治療開発とその支えとなる臨床研究が実現できない現状にある。早急に研究職の配置を実現されたい。 

    •  

    • ACCでHIV医療を研修したレジデント等(リサーチレジデント、派遣を含む)の正職員登用について、HIV医療の重要かつ貴重な人材として採用を含め検討されたい。

     

  3. 人事交流制度の検討(ブロック拠点病院内との交流)とACC配属のCNや看護師に対す るACC帰属及び特殊性尊重

    • 「ブロック内人事交流制度」

    • 医師や看護師の専門性向上のため、また地域医療機関との連携強化・医療向上のため、ACCスタッフとブロック拠点病院との人事交流が可能な制度検討を再度要望する。

    • 「ブロック拠点病院におけるHIV看護実務担当者/CNのACC定期研修」

    • ブロック拠点病院においては、CN実務担当者が1名、多くても2名で、日常の業務にあたっており、このような状況の中で質の向上を目指すことが困難な環境にありがちである。そこで、HIV看護実務担当者が年に1度、1ヵ月程度のコーディネーター研修を受けられる定期研修プログラムの条件整備を要望する。 

    •  

    • 「ACC配属看護師のACC帰属と特殊性の考慮」

    •  

    • コーディネーターナースを含むACCの看護師の異動・昇進や採用については、ACCの特別な使命を鑑み、国立病院の制度や慣行にとらわれず、ACCセンター長の指揮下に置き、特段の配慮をされるようお願いする。 
       特に外来看護師を短期間で異動させることは慎まれたい。また、ACC外来看護師の人員確保と、外来・病棟看護の連続性を確保するため、ACC病棟看護師がローテーションでACC外来勤務にあたることを考慮されたい。 
       ACCの帰属については、看護部長始め看護部においてACCに配属の時点でACCセンター長の下にACC一員として同じく行動するよう改めて求める。ACCの一員としての意識、ACCの使命を改めて教育されたい。また、国立病院課においても常にこの点の指導をお願いしたい。 

    •  

  4. 研修機能の強化の件

    • 「ACC研修の多様化確保」

    •  

    • ACCにおけるHIV医療研修期間は短期だけでなく1年や半年など、専門家育成を視野に入れ、研修要望に沿った制度も創設されたい。そのための、特別の予算措置、体制拡充を要求する。昨年度、今年度は、研修日が減少し、研修希望者が多数いるのに希望が適わないという苦情も出ているが。予算面の問題或いは指導するスタッフの確保の問題などがあると推察されるが、HIV感染症に対する啓発は重要と位置付けられている現状で、ACCにおける研修機能が低下することは遺憾であり、善処されたい。


(4)その他 

  1. 患者家族・遺族の健康相談に関する件 (新規)

  2. 感染被害者は感染から20年近くを経過し、服薬に関する負担、将来に関する不安など、その家族も含めて、様々な心的・精神的負担を抱えている。継続的に行われている薬害HIV感染被害者生活被害実態調査によると、遺族が被った精神的苦痛も、時間が解決するものではなく、うつ病などの精神的疾病に罹患したり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)ともいうべき健康被害を抱えている状況にあるものもいるということが明らかになった。また患者の病状が悪化することで遺族の立場になりうる家族の将来像も視野に入れたケアを考えて、患者治療を展開していくことが肝要と考える。このような状況をうけ、感染被害者・家族・遺族が安心して相談できる場として、ACCには患者家族・遺族への医学的ケアを行っていっていただきたい。 

  3. HIV/AIDSコーディネーターナース(HIV/AIDS認定看護師)の資格認定

  4. ACCは開設当初から、組織の中に、看護・患者支援調整官並びにその下にコーディネーターナースを組み入れた。HIV医療において、個々の患者が最も適した医療を院内・院外において提供されるべく、そのため専門領域間との調整をHIV専任看護師が行うのであるが、その担当者をコーディネーターナースとしている。このコーディネーターナースは、父権主義的医療を背景とする薬害エイズ事件を教訓に、医療者全体で、チーム医療を組み最先端・最高度の医療をHIV感染症患者に提供してほしいとの要望に沿うために設けられ、院内医療の調整のみならず、患者の生活全体について医療者の立場から支援を行い、厳しい抗HIV薬を服用し続けて命を守る特にゴールのない治療を支えてきている。 
    我々患者はその実績は大きなものと評価する。そのコーディネーターナースは、患者の大きな支えであるにもかかわらず現在資格なき専門職で、それゆえに病院内での評価・支援は薄いものである。そこで、先駆的医療の範たるHIV医療を更に良きものにするため、専門職としての誇りをもち活動していただくため資格認定を与えることを強く要望する。 
    具体的には、日本看護協会において、HIV認定看護師資格をとる受講を行い、実習はACCで行う。この研修を修了した看護師に対し、「HIV/AIDS認定看護師」として認められ、HIV/AIDS医療に専心的に関わる看護師として本人及び抱える医療機関のインセンティブを高める。 

  5. 「慢性感染性疾患療養指導料」の新設

  6.  看護・患者支援調整官及びHIV/AIDS認定看護師・コーディネーターナース、担当者  が行う外来療養相談・指導で算定される診療報酬を設けられたい。 
    HIV/AIDSの患者診療を行っているACCとブロック拠点病院のコーディネーターナース6人、担当者20人による患者の診療支援活動が、診療報酬として算定されることにより、HIV医療体制の目指すチーム医療をより効果的に実践できる。即ち、その活動に対する財政的裏づけがなされることにより、病院の積極的関与が得られるのである。重要な課題として早急に実現していただきたい。 

  7. 先端・専門医療充実の件

  8. 急務の肝炎治療(発症予防を含む)、整形外科、インヒビター保有血友病患者の対応等々の治療体制・研究体制(内外の連携も含む)について、現況と将来構想を説明願いたい。 
    IL-2やスマートスタディなどの国際治験施設として機能を発揮しているように、更に血友病の遺伝子治療をも含む、ゲノム医療・再生医療・遺伝子治療等々の、最先端医療の治療研究の場としてACCが力を発揮するため体制強化を図られたい。そのために、先端医療研究機関との協力ができるシステムの構築も強化されたい。また、遺伝子解析をもとに行われるHIVオーダーメイド治療の進捗状況を説明されたい。 
    また、HIV研究・検査に関して、ACCの機能評価(他研究機関との連携を含む)について、厚生労働省やACCなどから現況を説明されたい。 

  9. エイズ治療・研究開発センター(ACC)の位置づけと役割・責務の周知徹底

  10.  

  11. ACCは国立国際医療センター病院にあるものの、その設立・使命・機能は省令でも定められるように、特別な位置付けにある。わが国におけるHIV医療のナショナルセンターとして、その位置付けを明確にし、内外の医療者・医療機関等々に周知徹底を図られたい。 
    また、国立国際医療センター内においても、毎年その趣旨を徹底させ、HIV感染症医療については政策的位置づけで、医療関係のみならず人事・財務・研修等々において、特別な扱いが正当化されるものであることを説明し続けられたい。 
    患者への制約にかかわる前例の撤廃、医療費の独自性等々、ACC機能の理解と更なる活性化を支援されたい。 
     

  12. コーディネーターナース(CN)活動の整理と制度普及の件

  13. CNが看護部に所属するが故に、その業務(本来ACC部長及び支援調整官の指揮監督下にある)に制約を受けないよう、厚生労働省は責任を持って国立国際医療センター病院・看護部に周知徹底されたい。特に、この度要求するACC首都圏医療協力部設置については、その効果的運用のため、CNが調整官の指揮の下、院外で活躍する必要がある。そのためにも制約の排除が必要である。 なお、CN制度の普及にも力を注がれたい。 

  14. 最新治療薬・未承認薬の購入の件

  15. ACCが最新医療及び濃厚治療を実施し、また、そのための治療研究開発を行うに際し、最新治療薬・治験薬や未承認薬が迅速に使用できるよう、引き続き便宜をはかられたい。併せて、抗HIV薬の使用サイクルが激しく変化する中で、未承認薬の導入は救済医療及びわが国のHIV医療における効果的成果を生ずるため必須である。恒常的に未承認抗HIV薬の導入ができるよう、国家機関としての役割も検討されたい。 
    なお、欧米での臨床治験にエントリーできるよう方策を考えていただきたい。 

  16. ACC医療スタッフの海外・国内研修や学会参加、講演について、ACCスタッフの教育

  17.  研修費独自制度位置付け及びその活用と、海外からの派遣要請対応の件 
    ACC医療者等が、わが国のHIV医療のナショナルセンターとしての重責を果たすため、国際学会や国内の学会に参加し情報を得たり、研究成果を発表・比較することの重要性は再三指摘してきている。また、HIV医療等関連疾患のレベル向上のための講演などはACCの役割として大変重要なものである。ACCスタッフがこれらHIV医療・HCV関連医療及び血友病医療等々関連する国際学会/会議・国内の学会/会議等に出席するのに有給休暇を利用しなければならないような事態は先の運営協議会で要求し改善され、ACCが厚生科学研究制度適用機関として位置付けられた。しかし、適用対象者は限られている。そこで、例えば「分担研究者及びその指定する者」という形で広くACCスタッフが参加できるよう配慮されたい。 
    また、HIV医療について、国内・国外での指導及び情報伝達が活発にできるよう検討されたい。 

  18. HIV診療支援システム(A-net)

  19. ACCを中心に、HIV診療支援ネットワーク整備が進んでいる。居住地域で医療を受けられる診療支援体制が構築されることは被害者の救済のみならずわが国のHIV感染症医療の向上に大いに寄与するところである。また、医療情報の蓄積による医療レベルの向上も大いに期待されるところである。A-netの現況について説明願いたい。 
     

4)感染症新法とエイズ治療・研究開発センターの関係


 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」いわゆる感染症新法との関係で、一昨年ACCの位置付け・組織、人的・物的体制等につき、わずかなりとも影響があるときには、原告団と協議する旨約束された。引き続きこのことを厚生労働省は確約されたい。 
 また、上記法律や予防指針で国立国際医療センター及びACCは感染症治療、予防等に関して、人権に配慮すること、良質な医療を提供すること等、わが国の最も模範となるべき医療機関として位置付けられている。特に、国立国際医療センター病院に特別に位置しているACCは、国立国際医療センターそのものが感染症医療のナショナルセンターとして存在することでその存在意義・機能が高まる。逆に、国立国際医療センターの今後の医療に対する方向性いかんによっては、国立国際医療センターがACCの機能を阻害する要因にもなりかねない。 
 国立国際医療センターが感染症医療のナショナルセンターの責務を果たすことを改めて確認したい。また、ACCが入る国立国際医療センターの全面改築については冒頭にあるように、ACCにわずかなりとも影響があるときは協議する約束である。改築計画がある場合、構想が練られている時点で対応を協議する必要がある。内容如何によっては、5)に示すように、ACCの独立化を含めその対応を早急に協議しなければならない。

 

 

5)更なるエイズ医療の向上を目指すエイズ治療・研究開発センター(ACC)の独立


 和解におけるエイズ治療研究センターについて、原告団は当初から特別な使命を遂行するため、また既存の制約や干渉による運営障害を避けるため、独立の施設として要求した。しかし、厚生大臣交渉の過程で独立の施設を作るには3年かかるとの話から、その設置の緊急性に鑑み、当面の措置として国立国際医療センター病院に特別な位置付けとして置くこととした。 
国の責務としての薬害被害者の原状回復医療に全力を尽くし、そしてわが国のエイズ治療研究開発のナショナルセンターとしての重責を担い、かつわが国だけでなく国際的にもエイズ治療研究開発の推進に活躍することがエイズ医療全体の更なる向上に重要である。そうしたエイズ治療の実効を更に挙げていくために、内外の優れた人材を活用しその研究治療に対応しうる設備を整えるため、当初の要求の通りエイズ治療・研究開発センターが治療研究開発・研究施設を含め独立した施設として規模を有する形をとることを強く求める。

 

  
 

平成17年8月17日

エイズ治療・研究開発センター(ACC)独立とそれに関わる国立感染症研究・治療開発センター(仮称)設立について


 

東京HIV訴訟原告団

大阪HIV訴訟原告団

 エイズ治療・研究開発センターは、和解確認書・和解所見にもとづき、HIV感染症医療の最高度の医療確保を目的として原告団の要求にしたがって設立された。しかし、原告団は当初からエイズ治療研究センターは独立の施設として要求し、厚生大臣交渉の過程で独立の施設をつくるには3年はかかるとの話から、その設置の緊急性に鑑み、当面の措置として国立国際医療センター病院に置くこととした。エイズ治療・研究開発センターが被害救済の実効を上げるとともにわが国のHIV治療研究開発とその指針・情報の発信という本来の目的を達成するため、また世界的解決が求められているHIV医療の国際貢献という目的に即したHIV治療研究開発を担うため、HIVのナショナルセンターとして更に強化充実が必要である。 
航空機等の高速移動の社会で、エイズに端を発し、一昨年発生したSARSのように、ヒト・動物由来の国際感染症時代に突入した。国民の健康・命を守る国の感染症危機医療は、迅速・適切に感染症罹患者の命を救うと共に、患者・家族の生活を守りつつ感染症の拡大を阻止することが求められている。これは、エイズ発生当初、わが国の血友病患者・家族が、国の感染症危機管理対応の不適切さで、未曾有の被害と偏見差別(社会的スティグマ(烙印))に苦しめられてきた経験から国に意見するものである。直近のSARS対応を見ても未だ十分といえないわが国の感染症に対する医療体制に鑑み、感染症医療の緊急対応と質的向上を目指すべく、エイズ治療・研究開発センターを独立させるとともに、同センターを母体としてわが国の感染症治療・研究開発を担うナショナルセンターを設置されるよう、下記の件について要請する。

  1. 国が責任を持った感染症疫学調査・病態調査や感染症研究を、国際的対応も即して実施できるナショナルセンターを、国立感染症研究センターの改編を含め整備する。

  2. 発生した感染症に対する医療・患者や家族の人権を守る社会啓発を国が指導性と責任を持って総合的に行う体制を整える。

  3. そのナショナルセンターとして、エイズ治療・研究開発センターを母体として、総合的医療を持つ国立感染症治療・研究開発センター(仮称)を新規設置する。 
    エイズ治療研究開発・輸血感染症治療研究開発・他1類から4類感染症治療研究開発を含む 
    付属病棟600床規模 研究所 看護等医療者研修施設 

  4. 上記の機能及び国立感染症治療・研究開発センター(仮称)設置についての検討会(準備会)を設け、原告団の参加を保証すること。

以上 
 

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