平成16年7月30日

 

エイズ治療・研究開発センター 運営協議会 議案

 

東京HIV訴訟原告団

 

大阪HIV訴訟原告団

 

 エイズ治療・研究開発センター(以下、ACCという)は、輸入血液製剤に起因するHIV感染被害の救済を目的として、和解確認書及び議事確認書に則り、わ が国のHIV感染症の最新・最高度の治療と研究開発・情報提供・研修を実施する機関として、「国の責任」で設置された。この責務を担うため、平成9年4月 の発足以来7年、ACC医療スタッフが日々努力と研鑚を重ねてくださっていることを評価し厚く感謝する次第である。また、ACCの重責遂行を支援する国立 国際医療センタースタッフの日々の努力に礼を申し上げる。いうまでもなく、ACCは、最新の治療・相談・情報入手・医療連携等々に関し、HIV感染者の拠 り所である。とくにHIV感染被害後20年になる被害患者の身体的・精神的状況は厳しさが増してきている。HIV/HCV重複感染の重症化により、 20~30代で肝硬変・肝不全で亡くなる人は増加傾向が止まらない。また、抗HIV薬長期服用による代謝異常や精神的問題を惹起する副作用は、被害者をし て未だ経験の無い困苦の領域に踏み込ませている現実がある。そうした被害者にとって、ACCは国が保障した、生きる希望をつなげる最後の命の砦である。

 
 しかし、被害救済の最たる機関にとどまらず、ACCはHIV医療のナショナルセンターとして全国各地のブロック拠点病院との連携のもと、わが国 HIV医療の頂点に立つ存在である。昨年そして本年における、医療協議・中央運営協議会を経て、更に厚生労働大臣との定期協議及びその打合せ会議におい て、ACCに新しい役割が付与された。全国のHIV感染者・患者の7割を占める首都圏について、関東・甲信越ブロックから首都圏を分離してACCが首都圏 診療支援のための事務局を担い、更に首都圏診療協力部(診療支援部)をACCに設置して同協力部のコーディネートのもと、首都圏拠点病院との診療連携機能 を深めHIV感染者の急増に対処し、患者に良質な医療提供をしていくことになる。先に説明した、検査・抗HIV薬投与等々、綿密な治療計画の下にHIV感 染症治療は維持される必要があることから、診療連携に入る拠点病院等と診療協力部との間でまさに生きた診療協力が実施されなければならない。患者数の増加 に対する有効的適切な治療が実施できる病院を増やさなければならないのは必定で、首都圏の対策がそのままわが国のHIV医療施策といえるほど逼迫した状況 において、厚生労働省は財政的にも特別な手立てを組み、積極的にHIV医療等の施策として上記要望をくみ上げていただきたい。 


 また、本年は、ACCのある国立国際医療センター病院の建替えに関して、大臣の約束に基づき、原案図面が提示されたところである。ACC設置の 経緯に鑑み、原告団が、建替え後のACCの姿に関心をもち、計画に関与するのは当然のことである。原告団は建替え後のACCのあるべき姿について、後記の とおり具体的な要求事項を掲げた。時に医療センター病院と利害が対立する場面も生じるかもしれないが、その際には厚生労働省が、調整に当たられることを要 請するものであるし、医療センター病院に対しても、ACCが他科とは異なり、上述のとおり国の医療政策として特別に設置された存在であることをご理解願う 次第である。 
ただし後記のとおり、ACCでは現在、増加しつづける患者(しかも初診で重症化した患者が多い)に対し、建替えを待っていては、対処しきれない 緊急事態も生じている。これらの問題については、厚生労働省は、直ちに解決されたい。さらに、この数年解決・改善されていない諸問題についても引き続き要 求事項として掲げておく。 


 いずれにせよ本年は、ACCが、外にあってはHIV感染爆発が起こっている首都圏の医療支援という新たな命題に対峙し、また内にあっては国立国 際医療センター病院の建替えという事態に直面する、極めて重要な-わが国のHIV医療政策の将来像そのものを問う-会議である。厚生労働省および国立国際 医療センター病院に対しては、その覚悟を問うものである。

1)説明事項等 

  1. 厚生労働省審議官、国立国際医療センター病院院長、エイズ治療・研究開発センター長か ら、平成16年度の抱負をお聞かせ願いたい。

  2. 平成15年度の取り組み・実績・研究成果について、報告をお願いする。

2)重点要求事項(項目のみ)

  1. 国立国際医療センター病院建替えに伴う原案図面に対して 
    同じく、ACC施設の構想と原案図面に対して 
    首都圏支部事務室をACC首都圏医療連携支援室とし、拠点病院等との連携充実のため早急にACC首都圏医療協力部(仮称)の設置確保 
    ACC専用研究室の独立・拡充 
    ACCにおけるHCV・血友病医療の充実と、人的確保 
    ACCにおける救済医療実現に向け、患者家族および遺族の医療相談対応における人的確保
     

  2. 病院建替えまでの間、ACC専門外来拡張(急務)

  3. ACCセンター長によるHIVコーディネーターナースの資格認定の実施

  4. ACC研修の充実化
     

3)個別要求事項:エイズ治療・研究開発センター(ACC)の医療体制拡充・医療支援機能強化の要求 

以下の件について要望する。特に、(1)、(2)Ⅰ、(3)1、2、(4)1.2.3.については、具体化をはかるため、厚生労働省・国立国際医療センター/ACC・原告団の三者で実務協議をする場を設けられたい。 

(1)ACC首都圏医療協力部(仮称)の新設 

 全国のHIV感染者・患者の7割が集中している首都圏地域の医療体制については、ACCの機能を強化・拡張し、各拠点病院と連携を図り つつ、首都圏地域のブロック拠点病院的な機能も担っていただくことを確認しているところである。国際的にも感染者増に対する医療の展開が大きく取り上げら れている中で、わが国の首都圏地域の拠点病院の中には、未だ最善のHIV治療を実施できない病院が少なくなく、患者を常時診療している病院もあまりに少な い。 
 ACCとの連携といっても、ACCが座して待っているだけでは進展はないし、特定病院への患者の集中はやまない。そこで急遽、今年度の計画で は関東・甲信越ブロックの首都圏支部をACCに設置し、ACC首都圏診療連携事務局を機能させることとなった。しかし、患者や医療者の最新・適切な医療の 提供要請に対応するため、時間の猶予は許されない。実践的治療の場を確保することが急務で、首都圏の拠点病院等と連携を行う組織として、ACC内に新規に 「首都圏医療協力部(仮称)」を早急に新設されたい。元来、ACCには医療スタッフの派遣機能(医療支援)があり、この機能を首都圏協力部として発揮され たい。具体的には、熟練した医師・コーディネーターナースを拠点病院等にある一定期間派遣し、当該病院のHIV医療の現場のスタッフとともにHIV医療を 実践することで治療レベルを向上させ充実化を図る。これにあたっては、物的には首都圏医療協力支援室を確保し、また首都圏の患者数・規模からみて、人的に は首都圏医療協力部専任の医師5名、コーディネーターナース4名、協力支援室担当職員1名を増員されたい。 
併せて、派遣について、ACC発足時より生きた実際の研修はその場で実施するという理念が未だ生かされていない。このACCから他医療施設に対する診療・診療指導派遣を可能とする制度を実現されたい。 

(2)物的整備について 

Ⅰ.国立国際医療センター病院建替えに関する件 

1.国立国際医療センター病院の建替え原案図面の提示と協議の場の設置 
 ACCは国立国際医療センター病院内に配置されているため、病院の建替えはACC機能に直接影響するものである。7月26日原案図面等を提示し ていただいたところであるが、和解事項及びこれまでの協議を踏まえたACCの機能を保持できるものであるかを確認させていただき、修正等の必要性をも含め 協議する場を早急に設置されたい。これにより、国・医療者・患者それぞれの立場からの意見を交え、HIV感染症医療のナショナルセンターとしてよりより充 実したものをつくり上げることを念願する。 
なお、原告団としては、建替え後のACC関連施設として、最低限以下の設備を設置されることを要望する。 

 

  1. ACC専門病棟(30床+面談室2室+処置室2室+専用食堂・ラウンジ1室+カンファレンスルーム1室+研修医室1室+当直室1室)

  2. ACC専門外来(6診+5床処置室+吸入室+採血室)、ACC専門相談室(5室) 
    ACC医療情報室(現状の2倍)、ケア支援室、専用会議室(40~50人用) 
    ACC首都圏医療協力部(同事務室+同支援室) 
    ACC専用研修室+研修生室 
    ACC患者支援ルーム 

  3. ACC研究室(現状の1.5倍以上の広さ)+検体保存冷凍室

  4. ACC医局


2.国立国際医療センター病院建替えにおける専門病棟確保の件 

 現在のACC専門病棟の理念を踏襲し、患者の要望を反映した専門病棟として30床の病床及び1に示す附帯する設備を建替え後の専門病棟に確保されたい。 


3.国立国際医療センター病院建替えにおける専門外来確保の件 


急性期から重症の患者まで、HIVの最新・最高度の医療を求めてナショナルセンターであるACCに通院を希望する患者は年々増加している。近年に なり患者増加に対し、3診察室で対応しているが、急患で来る患者は2時間も待つこともあり、待合で苦しそうに横たわっている姿が少なくない。建替えに際し ては、6診察室と5床の処置ベッドを備えた処置室、及び発症予防治療や外来治療として必須な吸入室を完備したものとされたい。また、専門外来に併設して、 相談室5室を確保されたい。 

4.国立国際医療センター病院建替えにおけるACC医療情報室・ACC首都圏医療協力部・ACC医局・ACCケア支援室・ACC専用会議室の確保及び患者のアクセスを尊重した設置について 


 本年2月より、医療情報室・ケア支援室・専用会議室が外来2階に移転したが、従前より面積こそ拡充されたものの、専門外来から遠く、エレベーター も近くにないなど、患者の利便性という点では、後退したといわざるをえない。これらの施設は、患者にとっても最新・最高度の医療に接する場として重要なも のである。建替え時には、患者のアクセスを尊重した設置をされたい。 
 なお、3.4.の施設整備のため最低でも460平方メートルのスペースを確保することを要求する。 

Ⅱ.建替え前に緊急に整備されたい件 


5.上記医療センター建替えまでの専門外来の拡充 (特に緊急) 

 現状でも、上記Ⅰ-3のとおり、3診察室では対応しきれず、緊急に処置室を診察室として代用する状況すら存在する。外来通院者の激増はこれまでも 指摘してきたことでもあり、他方で病院の建替え完了は8年後であるとのことであり、それまでの間、早急に(患者の医療水準を落とすことなく、かつプライバ シーの確保された)診察室を2室拡充されたい。 

6.独立したACC研究室の確保及び治療開発機器導入に則した研究室の拡充と、検体保存冷凍室の確保 

ACCの重要な使命のひとつに、新たな治療法等の研究開発がある。現在のACC研究室(治療開発室)は、医療センター研究所の一部を間借りしてい る状態であり、新規研究機材を導入するスペースすらない状況である。このような状況は、HIV感染症治療研究のナショナルセンターとして到底ふさわしいと はいえない。したがって、より広いスペースに、独立したACC研究室を確保されたい。また、研究開発のための重要な資産である検体保存のための冷凍室設置 についても、一昨年度の運営協議会から要請しているところであり、当時の国立病院部長、センター病院長にも現状を見ていただいたところであるが、いまだ実 現していない。早急な検体保存のための冷凍室の設置を求める。 

7.ACC医療情報室・ACCケア支援室への患者のアクセスを改善するためのエレベーターの設置

上記Ⅰ-4でも述べたとおり、移転後の医療情報室・ケア支援室・専用会議室は、患者にとってアクセスが良いとはいいがたい位置にある。この先8年間この状況を強いるのではなく少しでも改善するため、これらの施設の近辺にエレベーターを設置されたい。 

8.ACC専用研修室と研修生室の確保 

 ACCの重要な責務として研修機能がある。最近では、HIV医療研修を集中的・全国規模で定期的に行っているのはACCのみである。また、 HIVのみならず、感染症医療の人材(感染症医療管理者も含め)育成のためにも、ACCの研修機能を更に強化する必要がある。ACC専用の研修室を早急に 整備されたい。また、研修生のための待機室(個別のデスクやロッカールーム等の有る)や、全国から来る研修生のための宿泊施設を早急 に整備されたい。 

9.首都圏診療連携事務室・支援室の確保 


 今年度は、首都圏診療連携事務局の事務室を次年度以降には首都圏医療協力支援室も確保し、早くに首都圏診療協力部を立ち上げて首都圏のHIV感染者医療を予防医療の観点 も踏まえた先駆的医療を実践できる体制を構築されたい。 

(3)人的配置・増員について 

  1. ACC専門医療スタッフ増員の件

  2. かねてから要求するところであるが、以下の専門医療スタッフの増員を要求する。特に、重複感染した患者を診るHCV専門家は、救済医療実現のため不可欠なところである。 
     

    • 「HCV・血友病治療等救済医療及び支援の強化」

    • HCV等肝炎専門医師(1名)、止血及び凝固管理・研究の血液専門医師(1名)、情報・研修担当の医師(1名)、首都圏医療協力部専任医師(5名)、医療協力部コーディネーターナース(4名)、医療協力支援室担当事務官(1名)、免疫・アレルギー治療研究医師(1名)。

    • 「外来患者・入院患者増対応強化と救済医療としての患者家族・遺族の支援体制」

    • 看護師については、増加するHIV・HCV・血友病患者の包括ケア、医療の質の確保・向上、患者家族・遺族の支援体制実施のため、コーディネーターナース(CN)を中心に以下の人員を要求する。 
      患者家族・遺族の医療・健康相談支援体制充実のためのコーディネーターナース(2名)、外来通院患者増に対応するための外来看護師(1名) 

    • 「研究機能の強化」 (緊急)

    • ACC研究室(現治療開発室)に、被害患者の救済医療の充実や急増するHIV感染者に対する臨床研究の充実を図るため研究職員(3名)を正規職員として新たに採用されたい。 
      患者数も1400人になり、現在は既定の命題をこなすことで手一杯であり、新たな研究課題が出ても対応できない状況である。しかも、医療職か行政 職の人材しか正規職員として配置されず、ACCの目指す最新・最高度の治療開発とその支えとなる臨床研究が実現できない現状にある。早急に研究職の配置を 実現されたい。 

    • ACCでHIV医療を研修したレジデント等(リサーチレジデント、派遣を含む)の正職員登用について、HIV医療の重要かつ貴重な人材として採用を含め検討されたい。

  3. 人事交流制度の検討(ブロック拠点病院内との交流)とACC配属のCNや看護師に対す るACC帰属及び特殊性尊重
     

    • 「ブロック内人事交流制度」

    • 医師や看護師の専門性向上のため、また地域医療機関との連携強化・医療向上のため、ACCスタッフとブロック拠点病院との人事交流が可能な制度検討を再度要望する。

    • 「ブロック拠点病院におけるHIV看護実務担当者/CNのACC定期研修」

    • ブロック拠点病院においては、CN実務担当者が1名、多くても2名で、日常の業務にあたっており、このような状況の中で質の向上を目指すことが 困難な環境にありがちである。そこで、HIV看護実務担当者が年に1度、1ヵ月程度のコーディネーター研修を受けられる定期研修プログラムの条件整備を要 望する。

    • 「ACC配属看護師のACC帰属と特殊性の考慮」

    • コーディネーターナースを含むACCの看護師の異動・昇進や採用については、ACCの特別な使命を鑑み、国立病院の制度や慣行にとらわれず、ACCセンター長の指揮下に置き、特段の配慮をされるようお願いする。 
      特に外来看護師を短期間で異動させることは慎まれたい。また、ACC外来看護師の人員確保と、外来・病棟看護の連続性を確保するため、ACC病棟看護師がローテーションでACC外来勤務にあたることを考慮されたい。 
      ACCの帰属については、看護部長始め看護部においてACCに配属の時点でACCセンター長の下にACC一員として同じく行動するよう改めて求め る。今年度のACC患者会(ACCクラブ)に、病棟・外来の師長はじめ看護師が一人も参加していないことは残念であり、帰属とその行動に緩みが出てきたの ではと憂慮するものである。ACCの一員としての意識、ACCの使命を改めて教育されたい。また、国立病院課においても常にこの点の指導をお願いしたい。 

       

  4. 研修機能の強化の件

  5. 「ACC研修の多様化確保」
    ACCにおけるHIV医療研修期間は短期だけでなく1年や半年など、専門家育成を視野に入れ、研修要望に沿った制度も創設されたい。そのための、特別の予 算措置、体制拡充を要求する。今年度は、研修日が減少し、研修希望者が多数いるのに希望が適わないという苦情が寄せられている。予算面の問題或いは指導す るスタッフの確保の問題などがあると推察されるが、HIV感染症に対する啓発は重要と位置付けられている現状で、ACCにおける研修機能が低下することは 遺憾であり、善処されたい。 

     

(4)その他 
 

  1. 患者家族・遺族の健康相談に関する件 (新規)

  2. 感染被害者は感染から20年近くを経過し、服薬に関する負担、将来に関する不安など、その家族も含めて、様々な心的・精神的負 担を抱えている。また、今般行われた薬害HIV感染被害者遺族生活被害実態調査によると、遺族が被った精神的苦痛も、時間が解決するものではなく、うつ病 などの精神的疾病に罹患したり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)ともいうべき健康被害を抱えている状況にあるものもいるということが明らかになった。 このような状況をうけ、感染被害者・家族・遺族が安心して相談できる場として、ACCには患者家族・遺族への医学的ケアを行っていっていただきたい。 
     

  3. HIV/AIDSコーディナーターナースの資格認定
     

  4.  ACCは開設当初から、組織の中に、看護・患者支援調整官並びにその下にコーディナ ーターナースを組み入れた。HIV医療において、個々の患者が最も適した医療を院内・ 院外において提供されるべく、そのため専門領域間との調整をHIV専任看護師が行うの であるが、その担当者をコーディナーターナースとしている。このコーディネーターナー スは、父権主義的医療を背景とする薬害エイズ事件を教訓に、医療者全体で、チーム医療 を組み最先端・最高度の医療をHIV感染症患者に提供してほしいとの要望に沿うために 設けられ、院内医療の調整のみならず、患者の生活全体について医療者の立場から支援を 行い、厳しい抗HIV薬を服用し続けて命を守る特にゴールのない治療を支えてきている。 
     我々患者はその実績は大きなものと評価する。そのコーディナーターナースは、患者の 大きな支えであるにもかかわらず現在資格なき専門職で、それゆえに病院内での評価・支 援は薄いものである。そこで、先駆的医療の範たるHIV医療を更に良きものにするため、 専門職としての誇りをもち活動していただくため資格認定を与えることを強く要望する。 具体的には、ACCで行う政策医療の一環で規定する研修を修了した看護師に対し、「H IV/AIDSコーディネーターナース」の資格認定を実施する。研修は、ACCエイズ研修 の中に「コーディネーターナース・コース」を設定し、認定は本省レベル/ACCセンター長 が行う。 

  5. 看護・患者支援調整官及びHIV/AIDSコーディネーターナース、担当者が行う外来療養 相談・指導で算定される診療報酬を設けられたい。「慢性感染性疾患療養指導料」の新設。

  6. HIV/AIDSの患者診療を行っているACCとブロック拠点病院のコーディネーターナ ース6人、担当者20人による患者の診療支援活動が、診療報酬として算定されることにより、 HIV医療体制の目指すチーム医療をより効果的に実践できる。即ち、その活動に対する財政 的裏づけがなされることにより、病院の積極的関与が得られるのである。重要な課題として早 急に実現していただきたい。(参考資料) 

  7. 先端・専門医療充実の件

  8. 急務の肝炎治療(発症予防を含む)、整形外科、インヒビター保有血友病患者の対応等々の治療体制・研究体制(内外の連携も含む)について、現況と将来構想を説明願いたい。 
    IL-2の国際治験施設として機能を発揮しているように、更に血友病の遺伝子治療をも含む、ゲノム医療・再生医療・遺伝子治療等々の、最先端医療 の治療研究の場としてACCが力を発揮するため体制強化を図られたい。そのために、先端医療研究機関との協力ができるシステムの構築も強化されたい。ま た、遺伝子解析をもとに行われるHIVオーダーメード医療の進捗状況を説明されたい。 
    また、HIV研究・検査に関して、ACCの機能評価(他研究機関との連携を含む)について、厚生労働省やACCなどから現況を説明されたい。 

  9. エイズ治療・研究開発センター(ACC)の位置づけと役割・責務の周知徹底

  10. ACCは国立国際医療センター病院にあるものの、その設立・使命・機能は省令でも定められるように、特別な位置付けにある。わが国におけるHIV医療のナショナルセンターとして、その位置付けを明確にし、内外の医療者・医療機関等々に周知徹底を図られたい。 
    また、国立国際医療センター内においても、毎年その趣旨を徹底させ、HIV感染症医療については政策的位置づけで、医療関係のみならず人事・財務・研修等々において、特別な扱いが正当化されるものであることを説明し続けられたい。 
    患者への制約にかかわる前例の撤廃、医療費の独自性等々、ACC機能の理解と更なる活性化を支援されたい。 

  11. コーディネーターナース(CN)活動の整理と制度普及の件

  12. CNが看護部に所属するが故に、その業務(本来ACC部長及び支援調整官の指揮監督 下にある)に制約を受けないよう、厚生労働省は責任を持って国立国際医療センター病院・ 看護部に周知徹底されたい。特に、この度要求するACC首都圏医療協力部設置について は、その効果的運用のため、CNが調整官の指揮の下、院外で活躍する必要がある。その ためにも制約の排除が必要である。 なお、CN制度の普及にも力を注がれたい。 

  13. 最新治療薬・未承認薬の購入の件

  14. ACCが最新医療及び濃厚治療を実施し、また、そのための治療研究開発を行うに際し、 
    最新治療薬・治験薬や未承認薬が迅速に使用できるよう、引き続き便宜をはかられたい。 
    併せて、抗HIV薬の使用サイクルが激しく変化する中で、未承認薬の導入は救済医療及 びわが国のHIV医療における効果的成果を生ずるため必須である。恒常的に未承認抗HI V薬の導入ができるよう、国家機関としての役割も検討されたい。 

  15. ACC医療スタッフの海外・国内研修や学会参加、講演について、ACCスタッフの教育 研修費独自制度位置付け及びその活用の件

  16.  ACC医療者等が、わが国のHIV医療のナショナルセンターとしての重責を果たすため、 国際学会や国内の学会に参加し情報を得たり、研究成果を発表・比較することの重要性は再 三指摘してきている。また、HIV医療等関連疾患のレベル向上のための講演などはACC の役割として大変重要なものである。ACCスタッフがこれらHIV医療・HCV関連医療 及び血友病医療等々関連する国際学会/会議・国内の学会/会議等に出席するのに有給休暇 を利用しなければならないような事態は先の運営協議会で要求し改善され、 
    ACCが厚生科学研究制度適用機関として位置付けられた。しかし、適用対象者は限られ ている。そこで、例えば「分担研究者及びその指定する者」という形で広くACCスタッフ が参加できるよう配慮されたい。 
    また、HIV医療について指導及び情報伝達が活発にできるよう検討されたい。 

  17. HIV診療支援システム(A-net)

  18. ACCを中心に、HIV診療支援ネットワーク整備が進んでいる。居住地域で医療を受けられる診療支援体制が構築されることは被害者の救済のみな らずわが国のHIV感染症医療の向上に大いに寄与するところである。また、医療情報の蓄積による医療レベルの向上も大いに期待されるところである。A- netの現況について説明願いたい。 
     

4)感染症新法とエイズ治療・研究開発センターの関係 

 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」いわゆる感染症新法との関係で、昨年ACCの位置付け・組織、人的・物的体制等につき、わずかなりとも影響があるときには、原告団と協議する旨約束された。引き続きこのことを厚生労働省は確約されたい。 
 また、上記法律や予防指針で国立国際医療センター及びACCは感染症治療、予防等に関して、人権に配慮すること、良質な医療を提供すること等、わ が国の最も模範となるべき医療機関として位置付けられている。特に、国立国際医療センター病院に特別に位置しているACCは、国立国際医療センターそのも のが感染症医療のナショナルセンターとして存在することでその存在意義・機能が高まる。逆に、国立国際医療センターの今後の医療に対する方向性いかんに よっては、国立国際医療センターがACCの機能を阻害する要因にもなりかねない。 
 国立国際医療センターが感染症医療のナショナルセンターの責務を果たすことを改めて確認したい。また、ACCが入る国立国際医療センターの全面 改築については冒頭にあるように、ACCにわずかなりとも影響があるときは協議する約束である。改築計画がある場合、構想が練られている時点で対応を協議 する必要がある。内容如何によっては、5)に示すように、ACCの独立化を含めその対応を早急に協議しなければならない。 

5)更なるエイズ医療の向上を目指すエイズ治療・研究開発センター(ACC)の独立 

 和解におけるエイズ治療研究センターについて、原告団は当初から特別な使命を遂行するため、また既存の制約や干渉による運営障害を避ける ため、独立の施設として要求した。しかし、厚生大臣交渉の過程で独立の施設を作るには3年かかるとの話から、その設置の緊急性に鑑み、当面の措置として国 立国際医療センター病院に特別な位置付けとして置くこととした。 
 国の責務としての薬害被害者の原状回復医療に全力を尽くし、そしてわが国のエイズ治療研究開発のナショナルセンターとしての重責を担い、かつわ が国だけでなく国際的にもエイズ治療研究開発の推進に活躍することがエイズ医療全体の更なる向上に重要である。そうしたエイズ治療の実効を更に挙げていく ために、内外の優れた人材を活用しその研究治療に対応しうる設備を整えるため、当初の要求の通りエイズ治療・研究開発センターが治療研究開発・研究施設を 含め独立した施設として規模を有する形をとることを強く求める。 

 

平成16年7月27日

 

エイズ治療・研究開発センター(ACC)独立とそれに関わる国立感染症研究・治療開発センター(仮称)設立について(案)

 

東京HIV訴訟原告団

大阪HIV訴訟原告団



 エイズ治療・研究開発センターは、和解確認書・和解所見にもとづき、HIV感染症医療の最高度の医療確保を目的として原告団の要求にし たがって設立された。しかし、原告団は当初からエイズ治療研究センターは独立の施設として要求し、厚生大臣交渉の過程で独立の施設をつくるには3年はかか るとの話から、その設置の緊急性に鑑み、当面の措置として国立国際医療センター病院に置くこととした。エイズ治療・研究開発センターが被害救済の実効を上 げるとともにわが国のHIV治療研究開発とその指針・情報の発信という本来の目的を達成するため、また世界的解決が求められているHIV医療の国際貢献と いう目的に即したHIV治療研究開発を担うため、HIVのナショナルセンターとして更に強化充実が必要である。 
 航空機等の高速移動の社会で、エイズに端を発し、一昨年年発生したSARSのように、ヒト・動物由来の国際感染症時代に突入した。国民の健康・ 命を守る国の感染症危機医療は、迅速・適切に感染症罹患者の命を救うと共に、患者・家族の生活を守りつつ感染症の拡大を阻止することが求められている。こ れは、エイズ発生当初、わが国の血友病患者・家族が、国の感染症危機管理対応の不適切さで、未曾有の被害と偏見差別(社会的スティグマ(烙印))に苦しめ られてきた経験から国に意見するものである。直近のSARS対応を見ても未だ十分といえないわが国の感染症に対する医療体制に鑑み、感染症医療の緊急対応 と質的向上を目指すべく、エイズ治療・研究開発センターを独立させるとともに、同センターを母体としてわが国の感染症治療・研究開発を担うナショナルセン ターを設置されるよう、下記の件について要請する。 

 

  1. 国が責任を持った感染症疫学調査・病態調査や感染症研究を、国際的対応も即して実施できるナショナルセンターを、国立感染症研究センターの改編を含め整備する。

  2. 発生した感染症に対する医療・患者や家族の人権を守る社会啓発を国が指導性と責任を持って総合的に行う体制を整える。

  3. そのナショナルセンターとして、エイズ治療・研究開発センターを母体として、総合的医療を持つ国立感染症治療・研究開発センター(仮称)を新規設置する。 
    エイズ治療研究開発・輸血感染症治療研究開発・他1類から4類感染症治療研究開発を 含む 
    付属病棟600床規模 研究所 看護等医療者研修施設

  4. 上記の機能及び国立感染症治療・研究開発センター(仮称)設置についての検討会(準備会)を設け、原告団の参加を保証すること。

  5. 以上

    (参考資料) 

    平成16年6月9日


     

    国立国際医療センター

     

    エイズ治療・研究開発センター

      

    看護支援調整官 渡辺 恵

    患者支援調整官 池田和子
     

  6. ブロック拠点病院おける看護実務担当者の専任化について

    [現状と課題] 
    ブロック拠点病院の看護実務担当者(以下、担当者)は、これまで外来看護師等との兼任やエイズ予防財団のリサーチレジデント(非常勤)として、患 者の療養相談・指導を実践してきた。このような位置づけは、厚生科研でも経年指摘してきたとおり、ブロック拠点病院の担当者に求められる活動を実践するの に支障を来す根本原因となっている。特に近年では、首都圏を筆頭に、近畿、東海、九州の大都市を抱えるブロックでは、患者数の増加と治療継続が困難な背景 をもつ患者層の増加により、専任化の必要性は確実に高まっている。しかし、独立行政法人化以降、外来看護師が非常勤職員でまかなわれており、在院日数短縮 によって高まる外来実践ニーズに対応できない現状である。このような状態が続くことは、担当者の勤務継続にも支障を来すことから、拠点病院体制の維持にも 影響を与える重大な事項である。これについては、実質、拠点病院体制が後退したと言わざるを得ないと、原告からも問題視されている。今後、HIV感染者に 対する治療継続のための相談対応、本人や家族等への指導を実践することが困難な状況が続けば、薬剤耐性化による治療失敗やドロップアウトによる公衆衛生上 の問題が危惧される。 

    [方策] 
    ブロック拠点病院における担当者の院内での位置づけを明確にし、HIV/AIDS専任者として実践活動が可能になる条件整備を行うために、昨今の「リスクマネジャー」等の普及に倣い、資格認定と診療報酬を実現する。 
    1.「HIV/AIDSコーディネーターナース」の資格認定化 
    政策医療の一環で規定する研修を修了した看護師に対し、「HIV/AIDSコーディネーターナース」の資格認定を実施する。研修は、ACCエイズ研修の中に「コーディネーターナース・コース」を設定し、認定は本省レベルで実施する。 
    2.担当者の外来療養相談・指導で算定される診療報酬の新設 
     前回の改定から「慢性感染性疾患療養指導料」の新設を要望している。(別紙) 
    HIV/AIDS患者の診療を行っているACCとブロック拠点病院のコーディネーターナース6名、担当者20名による活動が、当面の算定対象と考えられることから、診療報酬全体への影響は大きくないと考えられる。関係部局からの支援をお願いしたい。   

    (参考資料) 
    ●平成14年度 
    厚生科学研究「HIV実務担当看護師による外来療養相談・教育に関する基礎調査」 
    (HIV感染症の医療体制に関する研究 主任研究者:白阪琢磨) 
    2002年7~11月 HIV担当看護師が外来相談を行った全患者220名の相談記録から 

    ●平成13年 アドヒアランスを高める行動支援の取り組み(第15回日本エイズ学会) 
    平成13年7~8月 ACCを受診した抗HIV療法実施中の患者226名へのアンケート 



     

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