1998年10月13日

 

    

  厚生大臣 宮下 創平 殿 

    

  

東京HIV訴訟原告団

   

大阪HIV訴訟原告団

 

    

  

エイズ治療・研究開発センターの先駆的機能強化を図るための体制拡充 と将来構想について」

 

    

 エイズ治療・研究開発センターは、和解確認書・和解所見にもとづき、英知を集めHIV感染症の最高度の医療を確保し被害患者の被害回復に尽くすとともにわが国のHIV医療の治療研究開発・情報・研修についてその指針作りと実技を行うものである。新しい医療の理念を抱き、様々な困難を原告被害者と厚生省の協議を経て克服しつつ、昨年4月に発足し、1年を経過した。しかし、エイズ治療・研究開発センターがわが国における最先端、最高度のHIV治療研究開発という責務を担うとされながら、現実には、様々な制約、特に被害患者の命に直結する問題も見捨てられるという国立病院既存の旧態的な制約などを受け、その責務に似合う体制とはほど遠いものになっている。本来の目的を遂行できるよう、以下について強く要求するものである。 

    

エイズ治療・研究開発センターの医療体制拡充に関する要求

    

 ①専門医療スタッフの早急なる増員手当ての要求。

 

 HIV感染症のナショナルセンターとして、先駆的治療の開発・普及に関わる情報・研修担当医師や診療・ケアの開発・情報・研修を担うコーディネーターナースなど、現行の担当者では絶対的人員不足で職務内容も過密であり、増加している患者に対する本来行われるべき密なる患者ケアに大きな支障をきたしている。

(別紙資料「エイズ治療・研究開発センターの取り組み状況について」から、〝研修スケジュール、活動状況〟参照)
 また、HIV治療薬・治療が多くの副作用を伴うことから、エイズ治療・研究開発センターとして専門性をもつ熟練した独自のスタッフを擁する必要がある。特に肝臓・消化器の専門医はC型肝炎とHIV治療の双方に有効に対処するため重要である。研修担当者は当然熟達した医療者も対象として研修を行うことから、HIV医療に対しても習熟した医療者を必要とすることは言うまでもない。以上の理由から、平成10年度は、情報・研修のためのHIV専門医師 2人、情報・研修のためのコーディネーターナース 2人、肝臓・消化器専門医師、止血管理の血液専門医師、眼科HIV診療熟練医師 各1人専門薬剤師1人、の増員を要求する。 

    

 ②エイズ治療・研究開発センターで研究を積むレジデントやリサーチレジデントの正規職員採用の枠を設けられたい。 

 エイズ治療・開発や診療・ケアに強い関心を抱き、エイズ医療に尽力することが期待されるレジデントなどの長期研修者が、その志を生かせるようにするため同センターで正規職員としての採用枠を設け、エイズ医療の専門医療者として貢献できる機会を確保することを要求する。 

    

 ③エイズ治療・研究開発センターのエイズ治療研究予算の増額と適切な執行の要求 

 a)エイズ治療・研究開発センターの医療者の学会・研修等の参加・派遣は、先駆的治療開発という、エイズ治療・研究開発センター設置の目的からみても、欧米等の最新の知見に触れ、かつ同センターの研究成果を発表するため、重重な活動として積極的に推し進める必要がある。そのための予算的措置を要求する。 

 例・国際エイズ学会、米国エイズ学会、全米科学療法学会、ヨーロッパエイズ学会等への学会参加支援費 300万円/年間/1~2人 

 b)エイズ治療・研究開発センターの治療研究開発室の機器整備確保について、特に今年度秋には治療研究開発室の拡充がなされることから、配置予定の機器類の整備に支障がないよう要求する。 

 c)海外からのHIV関連医薬品購入等についての要求。 

  エイズ治療・研究開発センターでは、わが国のHIV医療に関わる最先端医療の重責を担うものである。同センターには、わが国には輸入されていない未承認薬の導入や海外での治験参加など、治療研究開発には欠かせない医薬品の導入について円滑に行われる必要がある。それなくして、現在の勢いある欧米のHIV医薬品の進展に取り残されるばかりか、国が約束して守るべき被害患者の命を見捨てるという新たな悲劇を繰り返すこととなる。そのような過ちを起こさないためにも、同センターで必要とする医薬品の海外からの導入について、新たな改変を含む制度の見直しをして支障のないようにすることを強く要請する。 

    

エイズ治療・研究開発センターの将来構想(独立)

 

 和解におけるエイズ治療研究センターについて、原告団は当初から特別の使命を遂行するため、また既存の制約や干渉による運営障害を避けるため、独立の施設として要求した。しかし、厚生大臣交渉の過程で独立の施設を作るには3年はかかるとの話しから、その設置の緊急性を鑑み、当面の措置として国立国際医療センター病院に特別な位置づけとして置くこととした。国の責務として薬害エイズ被害患者の被害回復に全力を尽くすため、また我が国だけでなく国際的にもエイズの治療研究開発の推進は極めて重要な問題である。そうしたエイズ治療の実効を挙げて行くために、当初の要求の通りエイズ治療・研究開発センターが治療研究開発・研修施設を含め独立した施設として大規模な形をとることを求める。 

    

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