患者の声

   当事者委員としての私の思い   聞き取りの現場に立ち会って   恩寵と鎮魂   みんな頑張ってますね!

    ―序文にかえて―

   社会参加への一歩    血友病という疾患    ​語り手として、聞き手として   生きなおすことと医師のモラル

   

 『「生きなおす」ということ』

血友病という疾患

森戸 克則

 聞き取り調査を終え、先ず感じたことは、その多くの方々が生来の血友病に加えHIV・HCVとと幾つもの疾患を抱えていること。加えて血友病性関節症・抗HIV薬の副作用・インターフェロンの副作用も加わっている訳で、これらが幾重にも重く圧し掛かっていて、単純に疾患が増えたから1+1+1=3になるという簡単なものではなく、これが私たち薬害HIV感染被害者の実状でもある。
聞き取りの中で、特に生活上で困難さを切実に訴えていたうちの1つとして、血友病について多くの方々から多くの時間を費やして話していただいた、とも感じている。ただ、話しやすさでいうと、HIVのことよりもHCV、HCVよりも血友病であったと推測され、実際聞き取りにおいても血友病のことが多く語られた。
 血友病とは、血液が固まることが困難ゆえ、多くの血友病患者が日常的に自己注射という手段で治療に用いられている血液凝固因子製剤の進歩は、現在において顕著であるにも関わらず、特に凝固因子が1%以下である重症者は、生まれながらにして静脈内に随時凝固因子を補充していかないと止血がなかなか成立しない。この現状は昔から大きく変わっていない。常に頭蓋内や腹部の出血による失血死の恐怖を未だに抱いていることが挙げられている。多くの患者仲間の死という否応も無い強烈なプレッシャーを経験しており、ただ不安とか怖いというような漠然としたものではなく、日々より具体的な恐怖を感じている。加えて、日常の生活をするうえで、四肢に障害を起こしている血友病性関節症も、個人個人の程度の差さえあれ、生きていくうえでの辛さになっているのは明らかでもある。更に遺伝性疾患でもある血友病のことを周囲はもちろん家族にも話していないケースが散見されている。遺伝性疾患という問題は、デリケートな問題を常に内包しており、家族の間でもあっても言い難いというのは容易に想像がつくものではありますが……。血友病を周囲に伝えることが困難である故に、今回の個々の聞き取りのケースで周囲へ話している範囲や、そのタイミング等に関して同じようなケースが少なかったという一面からも、問題の深刻さが容易に想像できると思います。
 今後、調査を進めていき、深いところでいろいろな問題を引き出していければとも思っております。今回の調査で、そのヒントはいくつか出てきているものと感じており、今後、より精査していくことが重要と考えます。

 最後に今回の調査にご協力いただいた方々へ御礼を申し上げます。本音をいえば、話したくないようなことや、できれば話したくないこともあったと思います。改めて厚く感謝申し上げます。

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